2020/01/13 00:01


少し前のことになるのですが、東急不動産ホールディングスさんのライフスタイルメディア「Sheage」 に、吾妻袋の紹介記事を掲載していただいたんです。時々こんな風に、山奥に引き篭もっているソメヤを見つけてくださるメディアの方やショップの方がいらっしゃるのですが、本当にありがたいことです。すごい時代ですね。これからも引き続き、ソメヤは山奥に引き籠ろうと思います。

掲載後、こちらのオンラインショップでもたくさんのご注文をいただきました。そして昨年末、担当の方から「Sheage AWARD BEST10に選出されました」というご連絡が。その少し前に、「Sheage AWARDノミネートのお知らせ」を受け取っていたのですが、年間約1,000件のブランドを紹介されている中からBEST10に選んでいただけたということで、しかも立ち上げ当初から作り続けている吾妻袋、なんだかぐっとくるものがありました。

立ち上げと言っても、ソメヤスズキの始まりは多分2013年あたりだったと思うのですが、本当に趣味の延長のような至極ささやかなものでした。東京から岡山県北の山奥へ引っ越してきて、元々興味のあった草木染めをしようかなと思い立ち、自宅でワークショップなんかをしていました。ちょうどその時、友人と古民家を改装したお店を作って、作業のできる工房を構えることもできたので、手ぬぐいやコースターなどをコツコツ作って販売していました。最初は自分で縫っていたなんて、今は考えられない(ぐらい不器用です)。

手ぬぐいから始まったからでしょうか、次なる商品展開を考える時に思いついたのが吾妻袋。昔からある和の形。あまりにもシンプルで、今でも時々不安になるけれど、結局「万能」の一言に尽きる優秀な子。だけどどうしても「和風」の枠をぶち壊したくて、それはつまり「染め」の魅力をもっとたくさんの人に知って欲しくて「カラフルでポップな草木染め」を模索していました。作る量が増えてきて、縫い子さんに縫製をお願いし始めていたのですが、その縫い子さんが2TONEの吾妻袋を提案してくれたんですね。正方形3つ分の長方形でできる吾妻袋。2:1で色を組み合わせて作ったら可愛いのでは?とな。

そんなこんなで生まれたソメヤスズキの定番、吾妻袋。おかげさまで、たくさんの方に手にとっていただいて、今もこうして作り続けることができるのであります。植物で染める美しい色を、この商品を通じて知ってもらえたら。和装だけでなく様々な装いに合わせやすいから、老若男女問わず選ばれています。これまで草木染めに出会うことのなかった方にもお届けできたことが、なにより嬉しい。

今では、素敵なパッケージを纏った吾妻袋。お土産やプレゼントに選んでいただくことも多く、SNSから海外のお客様がご注文くださることも。「ホリデーにビーチへ持っていきたいんだよ!」ということでイギリスへ送り出し、浜辺での写真がメールで届いたりもしました。今年はNYの展示会にも旅立つ予定です。私も行きたい。

冒頭の写真は、以前同じ村に住んでいたダニエルに浴衣を着てもらって撮影したもの。ソメヤの拠点の西粟倉村には温泉があって、お風呂へ行くのにおっきな吾妻袋があったら便利だなぁと思って作ったのがこのLサイズ。私はヨガやプールへ行くのにも使います。人口1500人弱の小さな村だけど、人の行き来が活発で若者も多く、毎年10人ぐらいのベビーが誕生している元気な村です。ちなみにヨガインストラクターが2人います。ちびっこの荷物をまとめたり、お弁当を入れたり、最近は村内でもソメヤの吾妻袋愛好者を見かけてホクホクしています。嬉しい。

手作業で染め上げた生地を裁断、一着ずつ縫って、ピシッとアイロンをかけて、丁寧に畳む。あの頃一人でしていた一連の作業。染色も縫製も、今では私以外の人が手を動かすことで商品が生み出され、村に小さな仕事を生み出しています。それらを検品して、ロゴの入った紙の帯を巻いて、パッケージの箱にそっとしまって、「ご主人様の日常を彩ってきたまえよ」と念を込めて送り出すのは(発送作業)、今のところまだ私の役目。密かに大好きな時間です。シンプルで、いつも私に初心を思い出させてくれる永遠の定番、吾妻袋。今後ともよろしくお願いいたします。